『かすていら』
カレンダー
プロフィール
最新コメント
最新記事
(12/18)
(12/15)
(12/01)
(11/26)
(11/15)
(11/13)
(10/28)
カテゴリー
アーカイブ
2025.02.01 Sat 03:01:12
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2007.04.19 Thu 23:06:57
<デンコードー 火星中央店>
デンコードーは、太陽系の中では割と店舗の多い家電量販店だ。
特にこの火星中央店は、価格の安さと品数の多さ、
折り込みチラシによる割引きサービスなどから
火星首都圏200万人の生活を支えるマストショップとなっている。
そんな、みんな大好きデンコードーの宇宙船売り場(約10K㎡)に
僕の悲痛な叫びが響き渡った。
デンコードーは、太陽系の中では割と店舗の多い家電量販店だ。
特にこの火星中央店は、価格の安さと品数の多さ、
折り込みチラシによる割引きサービスなどから
火星首都圏200万人の生活を支えるマストショップとなっている。
そんな、みんな大好きデンコードーの宇宙船売り場(約10K㎡)に
僕の悲痛な叫びが響き渡った。
「え゛っ?5万からですか!?」
『えぇ。いっちゃん安いので、それくらいしますよ。
失礼ですが、ご予算は・・・・?』
「・・・・・3万M$しか、無いです・・・・」
(※M$ → マーズドル)
美しい自然に溢れる、終の棲家となる星を探しに行くために
はるばる都内のデンコードーへ自家用宇宙船を買いに来た僕だったが、
まったく想定外のところでつまづいていた。
まさか、宇宙船がそんなに高いなんて・・・・
ちゃんとリサーチしときゃ良かった!バカカオレワヨ~・・・・
あぁ、こんな初歩的なところで
僕の新たな人生への旅立ちは頓挫してしまうのか?
やっぱり貧乏人はムチャな夢なんか見てないで、
部屋でしっとりニートでも満喫してろって事なのかい。
お金が無いと何にも出来ない・・・・お金が全て。
お金さえあれば・・・・・・
『あの・・・・もし宜しければ、中古船がもう少し安いので、
そちらをご案内いたしましょうか?』
「へっ?中古なんて売ってるんですか?」
『ハイ。いかがいたしましょう?』
「そりゃもう、是非!!」
神は見捨ててはいなかった!この際中古でも構わない。
にわかに後光を帯び始めた店員さんを、小躍りしながら追いかけ
中古船売り場の方へ移動する。
中古船売り場は、デンコードーの裏手の倉庫横にあった。
大型の運送用タイプが1台と、小型が3台ほど
つつましく置かれている。
『3万M$だと、このタイプしか無いですねぇ。
去年のモデルですが、原子力推進式で
5分で亜光速まで加速できる、人気タイプですよ』
「ん~・・・なるべくトランクが広いヤツが良いんですけど」
『どういったご用途で?』
「旅、したいんすよね・・・」
『は?』
「あれ?・・・・あっちのヤツは、売り物じゃないの?」
僕は、倉庫のシャッターの隙間から見える
小型タイプらしき一台を指差した。
『え?あれ・・・こんな所にあったかな?
えぇと・・・値札が付いてますね。売り物だったかな?』
「おっ、2万5千M$じゃないすか!いいですね!
トランクルームも意外と広いし、バス・トイレ別だし」
『反動推進式でちょっと古いですが・・・・
まぁ、旅をするにはピッタリかもしれませんね。』
なんて運がいいんだ僕は・・・これぞ運命のお導き。
まさに僕のために置いてあったかのような1台に、
すっかり心奪われてしまった。
「じゃ、コレください」
『かしこまりました。では、手続きを行いますので
免許とクレジットカードをお預かりいたします。
・・・・はい、では15分ほどお待ちください』
ふぅ。一時はどうなることかと思ったけど、
なんとか宇宙船が買えて良かった・・・
これで晴れて、一国一城の主だな!
「あっ、とりあえず原付を積んでみっかな~♪」
駐輪場から裏手へ原付を持ってくると、
宇宙船の後部トランクルームへ入れてみる。
うん、結構余裕があるな。よく見ると簡易ベッドも付いてる。
これなら長旅にも不自由はしなさそうだ。
これでとりあえず、足は確保できた。
あとは数ヶ月分の食料と水、生活用品、発電機、万一のための通信機、
あと・・・・パスポートか。お金足りるかな・・・?
ん?
なんだ、このダンボール箱。
工具かな?
『お待たせしました』
振り向くと、先ほどの店員が戻ってきている。
『手続きが終了致しましたので、免許とカードをお返しいたします。
お買い上げ、真にありがとうございました!』
「いや、こちらこそ良い買い物ができました。サンクス!」
僕は颯爽と宇宙船に乗り込むと、
窓を開け、親切な店員に手を振る。
『またのご来店をお待ちしております!』
「いや、たぶん当分は来ないと思うけど・・・まぁ、うん。また」
宇宙船を走行モードに切り替え、裏口からデンコードーをあとにする。
と、その時、
ドンッ!!
「うぉっ!なに?」
唐突な爆発音。
僕は驚き、音のした方向を確認した。
すると、
つい先ほどまで居た、デンコードー火星中央店の正面玄関から
もくもくと黒煙が上がっている。
「・・・な、なんで?」
『えぇ。いっちゃん安いので、それくらいしますよ。
失礼ですが、ご予算は・・・・?』
「・・・・・3万M$しか、無いです・・・・」
(※M$ → マーズドル)
美しい自然に溢れる、終の棲家となる星を探しに行くために
はるばる都内のデンコードーへ自家用宇宙船を買いに来た僕だったが、
まったく想定外のところでつまづいていた。
まさか、宇宙船がそんなに高いなんて・・・・
ちゃんとリサーチしときゃ良かった!バカカオレワヨ~・・・・
あぁ、こんな初歩的なところで
僕の新たな人生への旅立ちは頓挫してしまうのか?
やっぱり貧乏人はムチャな夢なんか見てないで、
部屋でしっとりニートでも満喫してろって事なのかい。
お金が無いと何にも出来ない・・・・お金が全て。
お金さえあれば・・・・・・
『あの・・・・もし宜しければ、中古船がもう少し安いので、
そちらをご案内いたしましょうか?』
「へっ?中古なんて売ってるんですか?」
『ハイ。いかがいたしましょう?』
「そりゃもう、是非!!」
神は見捨ててはいなかった!この際中古でも構わない。
にわかに後光を帯び始めた店員さんを、小躍りしながら追いかけ
中古船売り場の方へ移動する。
中古船売り場は、デンコードーの裏手の倉庫横にあった。
大型の運送用タイプが1台と、小型が3台ほど
つつましく置かれている。
『3万M$だと、このタイプしか無いですねぇ。
去年のモデルですが、原子力推進式で
5分で亜光速まで加速できる、人気タイプですよ』
「ん~・・・なるべくトランクが広いヤツが良いんですけど」
『どういったご用途で?』
「旅、したいんすよね・・・」
『は?』
「あれ?・・・・あっちのヤツは、売り物じゃないの?」
僕は、倉庫のシャッターの隙間から見える
小型タイプらしき一台を指差した。
『え?あれ・・・こんな所にあったかな?
えぇと・・・値札が付いてますね。売り物だったかな?』
「おっ、2万5千M$じゃないすか!いいですね!
トランクルームも意外と広いし、バス・トイレ別だし」
『反動推進式でちょっと古いですが・・・・
まぁ、旅をするにはピッタリかもしれませんね。』
なんて運がいいんだ僕は・・・これぞ運命のお導き。
まさに僕のために置いてあったかのような1台に、
すっかり心奪われてしまった。
「じゃ、コレください」
『かしこまりました。では、手続きを行いますので
免許とクレジットカードをお預かりいたします。
・・・・はい、では15分ほどお待ちください』
ふぅ。一時はどうなることかと思ったけど、
なんとか宇宙船が買えて良かった・・・
これで晴れて、一国一城の主だな!
「あっ、とりあえず原付を積んでみっかな~♪」
駐輪場から裏手へ原付を持ってくると、
宇宙船の後部トランクルームへ入れてみる。
うん、結構余裕があるな。よく見ると簡易ベッドも付いてる。
これなら長旅にも不自由はしなさそうだ。
これでとりあえず、足は確保できた。
あとは数ヶ月分の食料と水、生活用品、発電機、万一のための通信機、
あと・・・・パスポートか。お金足りるかな・・・?
ん?
なんだ、このダンボール箱。
工具かな?
『お待たせしました』
振り向くと、先ほどの店員が戻ってきている。
『手続きが終了致しましたので、免許とカードをお返しいたします。
お買い上げ、真にありがとうございました!』
「いや、こちらこそ良い買い物ができました。サンクス!」
僕は颯爽と宇宙船に乗り込むと、
窓を開け、親切な店員に手を振る。
『またのご来店をお待ちしております!』
「いや、たぶん当分は来ないと思うけど・・・まぁ、うん。また」
宇宙船を走行モードに切り替え、裏口からデンコードーをあとにする。
と、その時、
ドンッ!!
「うぉっ!なに?」
唐突な爆発音。
僕は驚き、音のした方向を確認した。
すると、
つい先ほどまで居た、デンコードー火星中央店の正面玄関から
もくもくと黒煙が上がっている。
「・・・な、なんで?」
PR
Comments
Trackbacks
TRACKBACK URL :