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『かすていら』
  は、ある1人の男(26歳)の駄文を綴るためのブログです・・・・
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<火星・宇宙港 ロビー>

「お忙しいところ大変申し訳ありません。
 ただ今、デンコードー火星中央店にて発生したテロの影響で
 出入星規制を取らせて頂いております。
 C.G.Cより規制解除の通達があるまで、
 一般の方の出入星は出来ませんので、ご了承ください」


「あの~・・・どうしてもダメですかね?」

「どうしても、です」

「デンコードーのポイントカードあげますから」

「・・・・申し訳ありません」

「さっき宇宙船買ったんで、相当ポイント貯まってますよ?」

「・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・申し訳ありません」






くそっ、やっぱりダメか・・・

これで、テロの件が片付くまで
この星から脱出できないことが確定してしまった。
僕の新しい世界へ旅立つ第一歩は、
とんだ偶然によって足止めを喰らってしまったのだ。
『ガイア』とかいうテロリスト達の要求は
「地球を開放しろ」という、よく分からない内容だったが
C.G.Cが素直に要求を呑むわけもない。
解決までにはだいぶ時間がかかると見ていいだろう。

はぁ・・・参ったな。
すごくやる気を出して中古の宇宙船まで買ったのに
なんか、スタートの合図と同時に足を引っ掛けられた気分だな。


それもこれも、あの『ガイア』とかいうテロリスト集団のせいだ。
地球の開放だかなんだか知らんが、
あいつらがデンコードーで余計なことをしなきゃ良かったのに。
しかも建物を爆破したりして・・・なんて野蛮な奴らなんだ!
ニュースではまだ死傷者が出たって話は無いみたいだけど、
僕に中古の宇宙船を売ってくれた店員さんは、無事なんだろうか?


「あぁもう!ちくしょったれー!」


宇宙港ポートに停めてある宇宙船の
後部リビングスペースで、僕は頭を抱えた。


はあ・・これからどうしようかな・・・
一旦部屋に帰って、いつまで続くか分からない
このテロの解決を待つしかないのか?
とはいえ生活費はほとんど残ってない。
せっかく買った、宇宙航海用の食料に手をつけるのも
なんだかすごくむなしい感じがする。
ホント、参ったなぁ・・・


ん~・・・







ふー・・・・









う~ん・・・・









・・・・・・・・・・・・・







ドンッ!!




「うぉあぁっ!!?」



唐突な爆発音。
これは・・・僕は一度聞いたことがある。
デンコードーの駐車場を出た時と同じ音だ!


「うそっ・・・・テロ!?」


あわてて後部ハッチを空け、外に飛び出す。
周りからざわざわと声が聞こえてきた。
同じく宇宙港で足止めを喰らって、ポートで待っていた人達も
みんな出てきたようだ。
そして・・・・



宇宙港ロビーの入口から、
黒煙が上がっているのが見える。
間違いない。



「マジかよ・・・っ!!!」



ウ~~~・・・・
 ウ~~~・・・・



けたたましいサイレンが鳴り響き、
宇宙港の建物から人がなだれ出てきた。
うわ・・・こりゃあ、大パニックになるぞ・・・!







ギィン、ギィン、ギィン・・・ドシュッ!


「え?」




ポートに停まっていた一台の宇宙船が飛び出した・・・





ギィン、ギィン、ギィン・・・ドシュッ!

・・・ドシュッ! ・・・ドシュッ!

ド  ド ドドドド・・・!!

次から次へと・・・
ポートに停まっている何百台もの宇宙船が離陸していく。


「え?・・・うそ?
 え、みんなこの隙に脱出しちゃうの!?」


僕もあわてて宇宙船に飛び乗り、キーを回した。

ブーン・・・ ドッドッドッドッドッ・・

エンジンがかかり、大気圏外へ飛び出すための
『反動』をチャージし始める。
この宇宙船は旧式の『反動推進式』だから、
一般的な原子力推進式よりスタートに時間がかかる。

(反動推進式:モノとモノをぶつけた時の反動を
 一時的に溜め込んで、まとめて開放することで推進力にする)


周りの宇宙船はどんどん離陸していく・・・・
確かに、いつまでもここに停まっていたら
テロに巻き込まれるかもしれない。
みんなただでさえ、突然の出入星規制で途方にくれていたんだ。
緊急避難、ってことで、このままバックレたとしても
そんなに文句は言われないかも・・・・

これは逆にチャンスなのかもしれない。
僕もこの混乱に乗じて、この星を脱出してしまおう!!


『チャージ100% 離陸できます』
「おし来た!」

ドッドッドッドッ・・・・・  ドンッ!!

「くぅあッ」

ギィィ───ン・・・・・・


ガン!

ドドッ

ゴロゴロ・・・・ ガンッ!!


いっ・・・・てぇ!!」


・・・・・ィィ───ン・・・















シュ───・・・・・・








「いって~・・・くそ、シートベルト忘れてた・・・」


宇宙船の挙動が納まった・・・
どうやら大気圏を脱出したようだな。
窓の外から真っ暗な星空が見える。
(離陸の衝撃で、後部トランクルームまで吹っ飛んでしまった)


そういや、火星から外に出るのは何年ぶりのことだろう?

両親が亡くなる前、覚えてる限りじゃ一度だけ
月かどこかのテーマパークに行った覚えがあるけど、
もう10年以上も前のことだよな・・・



・・・・・。





「・・・さて。」


これから、どこに行こうか。



僕は立ち上がり、運転席に戻ろうとした。

と・・・



「ん?」


足元に、段ボール箱が転がっている。
コレは・・・なんだっけ?







あぁ、これはデンコードーで宇宙船を買ったとき、
すでにトランクルームに置いてあった箱だ。
工具だと思ってたけど・・・
よくよく考えてみたら、工具は座席の下にあるんだよな。



段ボール箱を開けてみた。



木箱が入っている。



木箱を開けてみた。







綿?が詰まっている。
他には、何も無い。






あ、いや、あった。
綿に包まれるように、小さい箱のようなものが入っている。
タバコの箱くらいの、真っ黒い直方体だ。

石のように硬く、つなぎ目は見当たらない。
非常にツルツルしている。というか・・・
光を全く反射しない。ひたすら真っ黒だ。
宝石か何かなのか?




「・・・なんだこれ。何に使うんだ?」

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