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『かすていら』
  は、ある1人の男(26歳)の駄文を綴るためのブログです・・・・
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<宇宙船 後部リビングスペース>


火星・宇宙港で起きたテロの混乱に便乗し
大気圏外へ脱出してからおよそ半日後・・・。
後部リビングスペースの床に
『周辺惑星マップ詳細版:エリアワン』
(火星中央庁のロビーにあったやつ)を広げ
僕は、まだ少し痛む後頭部をさすった。



テロで惑星封鎖中の恐怖の星・火星を
無事に脱出したまではいいが、
じゃあどこに行くのか?ってのを決める必要がある。


僕の最終目標である、
「自然の美しい星で、自給自足の生活」を達成するためには
まず、ほとんど手付かずの自然が残っている星を見つけて
土地を確保する必要があるワケだが・・・・
はっきり言って、そんなに土地と自然が有り余っている惑星は
無論、もうほとんど残っちゃいない。
(一世紀ほど前、太陽系各星の人口密度は地球人を中心に
10人/mを超え、現在も増え続けているらしい)

この『周辺惑星マップ:エリアワン』には、太陽系とその周囲
10万km以内の惑星のガイドが描かれているけど・・・
少なくともこの中に、僕の求めている星は無いと見ていいと思う。


だから、まずはこの中に描かれている惑星の中で
なるべく太陽系から離れている所に行き、
別区域が描かれた『周辺惑星マップ』を入手して
さらに離れた惑星帯域を探していく。
というのがベターなところだと思う。



「ん~、となると、最初の目的地は・・・・」



僕は、マップ上の『海王星』の右下にある小さな衛星
ネレイド』に目を移した。ガイドにはこうある。


「『ネレイド』は海王星の衛星の一つで、
長い楕円形の公転軌道を持ちます。
そのため、海王星との航路が開けるのは
10~12月初めの期間のみです。
太陽に頼らないシェルター設計により、
一年を通して気候は穏やか。
また、太陽系から離れている3~5月は
他の惑星帯域からのビジターも多く、
独特の文化が形成されているのも特徴です」



ここだな・・・・
10月末の今ならちょうど
海王星からネレイドへ続く航路が出来るはずだ。
ビジターが多いってんなら、外の惑星帯域の
情報も手に入りやすいはずだし、
この距離なら火星で起きているテロの影響も
少ない方だと思う。

それに緊急非難という名目はあるものの、
ドサクサにまぎれて無断で出星してるワケだから、
国家権力から遠いところの方が幾分安心だし・・・
って、これはビビリすぎか?


まぁ、ここでしばらく情報収集とお金稼ぎをして
ネレイドの公転軌道が太陽系を離れる年明け以降に
次の惑星帯域へ移っていくことにしよう。



「おっし、決まりっ!!
 いったん海王星に行って、そこからネレイドに行こう」



僕は、床に広げたマップをたたみ、
その傍らに転がる・・・・・・
真っ黒い直方体を拾い上げた。

トランクルームに最初からあった、
光を反射しない黒い直方体。

コイツが何なのかも調べてみないと・・・。
なにか珍しい宝石とか鉱石だったら、
質屋に売って路銀の足しにしよっと。




運転席に座って、船の行き先を『海王星』に設定する。
予測到着日時は・・・4日後か。


ブーン・・・ ドッドッドッドッドッ・・


僕はリュックからブランデーとグラス、ドライアイスと
世界の車窓から大全集』DVDボックスを取り出し、
後部リビングスペースに備え付けられた
簡易ベッドの上に座った。


窓の外に目をやれば、昨日までの
喧騒と眩しいネオンの光はそこに無く、
あるのはただ黒い星空のみ・・・・。

その星たちが、次第に後方へ
流れるように加速していく。



ギィィ───ン・・・・・・



不安と期待と、あと
何とも言えない寂しさというか・・・
「一人旅の哀愁」みたいなのを感じながら、
僕はぼんやりと、TVの向こう側に映る
昔の地球の風景を眺めていた。


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